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仮想デスクトップ導入を成功させるために 失敗事例から学ぶ導入の勘所
セキュリティ強化やBCP対策、働き方改革法へまる対応など、企業が取り組むべき課題が増えています。これらを包括的に解決するソリューションとして注目されているのが「仮想デスクトップ」です。一方で、仮想デスクトップ導入の難しさ、失敗例を耳にすることも珍しくありません。そこで、仮想デスクトップの導入がなぜ失敗したのか、具体的な事例をもとに解説し、成功へのヒントを提示していきます。
1. 仮想デスクトップ導入でありがちな失敗事例6選
仮想デスクトップ導入は、ビジネスの変革を着実に後押しする優秀な仕組みです。しかし、適用範囲の難しさや現場からの抵抗、使用感の悪さなどが問題になり、「導入失敗」と結論付けられるケースもあります。では一体、どういったケースが「失敗」に該当するのでしょうか。まずは事例を紐解いてみましょう。
関係部署の協力を得られず導入が進まない
仮想デスクトップを導入することで、今までと異なるPC環境となるため導入に協力してくれない部署が出てしまうことも少なくありません。このような中で強引に進めてしまうと、仮想デスクトップが原因で業務効率が下がったなどと言われてしまうこともあります。
仮想PCのレスポンスが悪く作業効率が低下
導入前の環境(ファットクライアント)に比べて著しく動作が鈍くなると、現場社員から「動作が鈍くて使いにくい」「待機時間が長くなりストレスになる」といったクレームがあがることも少なくないようです。これは、現場のモチベーションを低下させるばかりか、疲労感の蓄積からミスの増加にもつながります。
既存PC環境との混在で運用管理が複雑化
仮想デスクトップと既存PC環境(ローカル端末でアプリケーションを動作させている環境)を混在させたまま業務を続けると、運用管理がどんどん複雑になります。既存PC環境では動くのに、仮想デスクトップでは動かない、といった事態を防ぐため、バージョン管理は必須の作業です。例えば、OSやセキュリティソフトのパッチ適用や業務プリケーションのバージョン管理などです。これら管理コストの増大は、仮想デスクトップ導入のメリットを相殺してしまう可能性があります。
周辺機器との連携が悪い
PC以外の周辺機器(プリンタ、スキャナ、NASなど)との連携は、仮想デスクトップ導入において重要なトピックのひとつです。「仮想デスクトップ上で作成したドキュメントが印刷できない」「保存したはずのデータが反映されていない」といった事態は、日々の業務を遅滞させる原因になります。周辺機器との連携がスムーズでなければ、現場からは「失敗」と判断されるでしょう。
業務内容や社内ルールに合致せず、作業効率が上がらない
仮想デスクトップ導入失敗の原因は、技術的な問題だけとは限りません。せっかく遠隔地から作業できる環境を整えていても、リモートアクセスや在宅勤務を著しく制限する社内制度のままでは、「企画倒れ」に終わる可能性があります。
既存の業務アプリケーションとの相性問題
使用頻度の高い業務アプリケーションが上手く動作しないために、「導入失敗」と判断されることも少なくありません。例えば、VoIPやビデオ通話ツールのような、リアルタイムコミュニケーションツールには注意が必要です。ネットワーク負荷の高さが原因で、仮想デスクトップ上で上手く動作しないことがあります。仮想デスクトップの選定では、リアルタイムコミュニケーションツールへの対応も視野にいれておきましょう。
2. 仮想デスクトップ導入が失敗した理由
これら「仮想デスクトップの失敗事例」は、なぜ発生してしまったのでしょうか。その理由は、以下5つに集約されると考えられます。
いくら優れたシステムを導入しても、その使い方が周知徹底されていなければ、無用の長物になってしまいます。導入と並行してユーザートレーニングを実施したり、業務マニュアルを刷新したり、現場社員のリテラシーを向上させる施策も講じていきましょう。 仮想デスクトップの導入では、これら5つのポイントを事前に精査しておくことが重要です。また、これら「失敗しやすいポイント」への対策を熟知している、実績豊富なベンダーを選んでいきましょう。
関係部署の協力を得られるアプローチをとっていない
仮想デスクトップの導入は、経営戦略の1つと言っても過言ではありません。しっかり目的や投資対効果を算出した上で経営層に説明し、トップダウンで取組みを関係部署に方針を落とし込まなければ関係部署の協力を得ることは難しいでしょう。
全体最適を考えていない
仮想デスクトップの導入では、リスクを抑えるために「まずは部分的に導入を」という要望が上がることも珍しくありません。しかし、段階的に導入を行うにしても、企業全体として作業効率・品質・TCOを考慮していないと、導入を成功させることは難しいでしょう。部署Aを仮想デスクトップでシンクライアント化しても、連携する部署Bや部署Cがファットクライアントのままでは、セキュリティレベルも作業効率も向上しないのです。
下地になるネットワーク環境の不整備
仮想デスクトップは、サーバーの仮想PCにリモートからアクセスするという特性上、サーバーやPCのスペック、ネットワークの速度から影響を受けてしまいます。特にネットワークが整備されていないと、大きな遅延が発生して使用感が悪化します。
運用ルールやポリシーが未整備
運用ルールやセキュリティポリシーが未整備であると、仮想デスクトップの強みを発揮できません。「一定時間内は在宅勤務を認める」「所定の手続きを経れば外出先のモバイルからでもアクセスが可能」など、セキュリティを確保しつつ柔軟な業務ルールの制定にも注力したいところです。
社内ユーザーのITリテラシー・トレーニング不足
仮想デスクトップは、サーバーの仮想PCにリモートからアクセスするという特性上、サーバーやPCのスペック、ネットワークの速度から影響を受けてしまいます。特にネットワークが整備されていないと、大きな遅延が発生して使用感が悪化します。
いくら優れたシステムを導入しても、その使い方が周知徹底されていなければ、無用の長物になってしまいます。導入と並行してユーザートレーニングを実施したり、業務マニュアルを刷新したり、現場社員のリテラシーを向上させる施策も講じていきましょう。 仮想デスクトップの導入では、これら5つのポイントを事前に精査しておくことが重要です。また、これら「失敗しやすいポイント」への対策を熟知している、実績豊富なベンダーを選んでいきましょう。
3. 仮想デスクトップ導入成功の勘所とは?
最後に、失敗事例やその理由を踏まえて「仮想デスクトップ導入における勘所」を整理していきます。
導入の目的を明確にする
仮想デスクトップに限らず、ITソリューションの導入では「導入後に本当のニーズが見えてきた」という例が少なくありません。これは、事前に「なぜ仮想デスクトップを導入するのか」「何を解決したいのか」を突き詰めていないことが原因といえます。経営層からの要望だけではなく、現場の業務ルールやルーティーン、業務プロセスなどを分析したうえで、社員からのヒアリングに基づいた目的設定を行いましょう。そして、投資対効果を算出し経営層からトップダウンで指示してもらうことが肝要です。
対象業務、使用アプリケーション、周辺機器の整理
「どの業務を仮想デスクトップに移行するのか」をはっきりさせ、その業務で使用するアプリケーションや周辺機器を整理しておきましょう。特に周辺機器の洗い出しは、意外と難しい作業です。事務所や支社、拠点ごとに周辺機器のメーカーやモデルを一覧化し、それぞれのデバイスドライバが仮想デスクトップと衝突しないかテストしておく必要があります。これは、環境構築・テストの時点で、可能な限りクリアにしておきたい作業です。
社内規則やルールの変更
仮想デスクトップを、在宅作業やリモートワークの推進に役立てるのならば、規則とルールの整備は必須事項です。「仮想デスクトップを使った環境でも、内勤時と同様の評価を得られる」という実感がなければ、現場からの反発を招いてしまいます。特に「在宅作業時の勤務時間計算(裁量労働制か時間勤務制か)」や「人事評価の基準」などは、あらかじめ整備しておきたいところです。
ネットワークやサーバーなどインフラの事前調査
仮想デスクトップはネットワークやサーバーなど、ITインフラの品質が作業効率に直結します。ルーティングやネットワーク機器、画面設定、サーバーリソースの見直しを行い、十分なスループットが確保できるよう注意したいところです。もしITインフラの整備コストがネックになるようなら、イニシャルコストの低いクラウドを検討するといった方法もあるでしょう。
中長期的な視点でのコスト計算
仮想デスクトップは、業務システムとして何年も使用するものです。そのため、3〜5年単位でのTCO(Total Cost of Ownership=システムの総所有コスト)を重視していきましょう。一般的にTCOは、目に見えるコスト(イニシャルコスト)と目に見えないコスト(運営・維持管理・教育・障害対応など)に分離されます。このうち、目に見えないコストは「ソフトウェアバージョンアップにかかる費用」や「バックアップ費用」「障害対応時の人件費」「セキュリティ対策費」など、導入後に蓄積されるものばかりです。つまり、イニシャルコスト(初期導入費用)の安さ=中長期的なTCOの低さとは限りません。逆にイニシャルコストが高くても、堅牢かつ安定したシステムならば、中長期的なTCOは低くなります。
ベンダー選びは慎重に!
業務要件を満たすため「どのOSをどのようなハードウェア(PC、サーバー)で動かせばよいのか」という判断は非常に難しいものです。自社製品だけでなく、複数のソリューションを組み合わせてシステムを構築できるベンダーが望ましいでしょう。
4. まとめ
本稿では、仮想デスクトップ導入の失敗事例やその理由、導入の勘所を紹介してきました。仮想デスクトップは、セキュリティやBCP対策、業務効率化、働き方改革への対応など、さまざまなメリットを享受できる仕組みです。本稿で紹介したような勘所を意識し、実績豊富なベンダーに問い合わせてみてはいかがでしょうか。