DaaSとVDIの違いとは〜それぞれの特徴とメリットを理解する〜

DaaSとVDIの違いとは〜それぞれの特徴とメリットを理解する〜
仮想デスクトップ導入の需要が高まっています。
その理由の一つには、働き方改革によるリモートワーク、すなわちオフィスだけではなく自宅など会社の外で仕事をすることが増えたことで、PCの紛失などによる情報漏えいのリスクが高まっていることがあります。
加えて、感染症や伝染病が国中あるいは世界中で流行するパンデミックが発生し、長期間にわたり社員が出社できない事態も想定される時代です。この際にはリモートワークが効果を発揮し、在宅勤務での業務継続は可能だと考えられますが、社外で長期にわたり情報を厳密に管理し続けるのは難しいと言えるでしょう。
仮想デスクトップはこれらのリスクを回避することができます。

1. DaaSとは?

DaaSとは、“Desktop as a Service”の頭文字を取った略語で、ダースと読まれています。直訳すると“デスクトップを提供する”という意味合いになりますが、その名の通り、個人のデスクトップの環境をクラウドから提供するものです。
普通ならばデスクトップは個人のPCに存在しますが、DaaSでは個人のデスクトップがクラウド上に構築され、ネットワークを通じてそれを呼び出して利用することになります。
この時、個人のパソコンはもはやビューア(画面に情報を表示するためのソフト)でしかないのです。
DaaS方式(パブリッククラウド方式)
DaaSはクラウドサービスの一種
仮想デスクトップにはさまざまなものがありますが、DaaSはクラウドサービスの一種で、特定のソフトウェアを端末にインストールすることなく、ネットワークを通じて利用できるという利点があります。
そのため、PC側ではディスプレイとキーボードなど必要最低限の機能があれば、クラウド上にあるデスクトップ環境を呼び出して利用できるのです。
クラウドがどこにあるかで形が異なる
DaaSにはクラウド環境を構築する場所によって、プライベートクラウドDaaS、バーチャルクラウドDaaS、パブリッククラウドDaaSといった形があります。
プライベートクラウドDaaSとは、企業が独自に構築したクラウド環境からDaaSを提供するもので、独立した環境が特徴です。
バーチャルクラウドDaaSとは、事業者が提供するIaaS(Infrastructure as a Service)やPaaS(Platform as a Service)上で構築した仮想デスクトップ環境を提供するもので、完全に独立はしていませんが、他の会社が同じ環境を利用することはありません。
パブリッククラウドDaaSとは、パブリッククラウド上に構築されたDaaSで、他の会社も同じ環境を利用するものです。

2. VDIとは?

DaaSは、VDI(Virtual Desktop Infrastructure)と比較するとより理解しやすくなります。
VDIとは、自社のホスティングサーバで仮想デスクトップ環境を構築して提供するもので、仮想デスクトップ基盤、仮想デスクトップインフラ、デスクトップ仮想化など、さまざまな訳語で呼ばれますが、すべてはデスクトップの仮想化と理解すると良いでしょう。
簡単に言うと、オフィスやデータセンターに設置したサーバに個人が利用するデスクトップ環境を集約し、デスクトップのイメージを個人が利用するPCの端末に配信する仕組みです。
VDI方式
個人が使用するPC端末の機能を求めない
この場合、PCでの作業はサーバ側で処理を行うため、個人のPC端末の機能を最小限にできます。この点がVDIの最大の特徴でありメリットです。
DaaSでは個人のデスクトップ環境がクラウドに構築されるのに対し、VDIでは自社が構築したサーバでデスクトップ環境が構築されるのです。
要するに、DaaSはVDIの一種ということが分かります。

3. DaaSとVDIの比較

ここで、DaaSとVDIを比べてみましょう。
DaaSはVDIの一種で、PCを利用するユーザ側としては共通している部分が多くてどちらも変わらないのですが、運用面ではデスクトップ環境を構築する場所が違うという大きな違いがあります。
DaaSの場合、デスクトップ環境は外部の事業者が提供するクラウド上に構築されます。
VDIの場合は、自社のサーバにデスクトップ環境が構築されます。
この点を分かっておけば、それぞれの特徴やメリットを理解することが簡単です。
コスト面の比較
コスト面に注目すると、VDIは自社内やデータセンターに仮想デスクトップを展開するインフラを設置して保有する必要がありますので、初期投資が必要となってきます。また、ユーザ数の増減に合わせたインフラの再構築にも時間やコストの負担がかかります。
DaaSではデスクトップ環境をクラウド上に構築するため、そのための自社サーバは不要となり、初期投資はVDIより抑えられます。また数台のユーザ数から利用もでき、増減に対する対応も比較的自由に行えます。
運用面の比較
運用面では、VDIは自社のサーバを持つことになりますから、保守・運用は自社で行わなければならず、相応の負担が必要となります。
DaaSでは、サーバ障害などの対応は提供する事業者に任せることができるので、運用負荷が比較的少ないのが特徴です。反面、サービスを提供する事業者の仕様にもよりますが、基本的には柔軟なカスタマイズは難しいのが普通です。
セキュリティ面の比較
セキュリティ面を比較すると、VDIでは自社でネットワークやインフラにおいて、仮想デスクトップのセキュリティに対応する必要があります。ユーザ側に立つと、各自が使用するPCにはデータが残らないため、紛失で情報漏えいといったリスクが避けられます。これはDaaSも同様ですが、仮想デスクトップ導入の最大のメリットの一つです。
DaaSでは、さまざまなリスクに対する対策を標準で備えている事業者が多いので、ある意味でお任せすることができます。しかし重要なデータを社外のクラウドに置くことになりますから、取引先との規約や会社の規則により、調整が必要な場合があります。
DaaSとVDI、それぞれのメリット
DaaSとVDIのそれぞれのメリットをまとめると次のようになります。
DaaSのメリットは、初期投資を削減できることと、ユーザ数の拡張や縮小が柔軟に可能だということです。自社サーバを用意する必要もないので、サーバ導入の初期投資が必要ありません。インフラ管理も、サーバを提供する事業者が行いますので、運用における負荷も低減できます。
VDIのメリットは、自社サーバにデスクトップ環境を構築するため、自社でカスタマイズがしやすいことが一番に挙げられます。独自の運用管理ができ、信頼性や継続性に優れていると言えます。インフラ管理やデスクトップ環境の細かなカスタマイズも可能で、管理方式も自社の方針に沿って決定することができます。

4. 仮想デスクトップ導入のメリット

ここまでDaaSとVDIを比較することによって仮想デスクトップ導入のポイントを見てきました。イメージはつかめましたでしょうか。
仮想デスクトップにはさまざまな形があるので、導入に際してはそれぞれの違いを理解し、どれが自社に適したものなのかをしっかりと考えましょう。
仮想デスクトップ必須の時代に
今後、働き方改革がさらに進み、テレワークが普通になる時代がやってくると予想されます。
その時に大きな問題になるのが、情報漏えいなどセキュリティのリスクです。一度でも情報漏えいの事故を起こすと、企業運営に致命的なダメージを負ってしまいます。
すべてのリスクを回避できるわけではありませんが、ユーザ側のPCにデータが残らない仮想デスクトップの導入は、今後の企業の事業運営において必須のものと言えるでしょう。
そのためコストや運用面のメリットをしっかりと比べた上で、DaaS、またはVDIの導入を検討してみてはいかがでしょうか。

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